健康・美容

ガン保険に入っていない人がガンになったらどうなるか

日本人の死亡原因の1位は男女ともにガンです。

ガンといえば、イメージとして

・こわい

・治らない

・入院しっぱなしで治療

・治療に莫大な費用がかかる

などがあげられると思います。

ガンを怖いと思う理由として45.9%の人がガンの治療費が高額になる場合があるからと答えています。

日本全体のがん保険・がん特約の加入率は37・8%だそうです。3人に1人以上はがん保険に加入していることになります。

 

ガン保険に入っていれば費用の面では何かと安心できそうですよね。

 

ではガン保険に入っていない人がガンになったらどうなるのでしょうか?

治療をあきらめなくてはならないのでしょうか?

 

ガンの治療にはいくらかかるのか

ガンの治療には健康保険適用(保険証が使える)のものと、自由診療(保険証が使えない)

ものがあります。

健康保険適用の治療であれば、治療費の7割を健康保険が負担してくれますので自己負担額は3割になります。

自由診療の治療であれば、その費用のすべてが自己負担となります。

 

それぞれの治療法にいくらかかるのか?

ガンの治療とおおよその費用を表にまとめました。

治療方法 おおよその費用 保険適用
手術 30~130万円 健康保険
化学療法 100万円 健康保険
放射線治療 60万円 健康保険
先進医療 数百~1000万円以上 自由診療

 

<手術>

ガンがさほど大ききくなくて、転移もない初期のうちなら、手術が最も効果的な治療法です。費用は手術部位や内容、どのような手法で行うかによってかなり開きがあります。

例えば胃がんの手術の例なら内視鏡を使った胃粘膜の手術で30万円前後、胃の一部を切除するような大がかりなものでは130万円程度になることもあります。

<化学療法>

抗がん剤やホルモン剤を使用した治療です。がん組織が全身に転移している場合や、手術後の再発防止のために用いられる全身治療です。

化学療法ではどのような薬剤をどのようなクールで用いるか、その計画が重要で、効果を見ながら細かく調整して治療を進めます。

そのため1回の治療に6週間ほどかかる場合が多く、また費用も100万円ほどになります。

<放射線治療>

ガンに向けて放射線を照射し、がん細胞を破壊しようという治療です。

体の外から照射するものと、放射線を放つ物質を体内に入れて狙ったガンをたたくという、2種類の方法があります。

放射線治療は小さなガン病巣に用いられることが多く、費用はおおよそ60万円程度です。

<先進医療>

ガンの治療の分野は研究と開発が活発に行われており、その一部は先進治療として活用されています。未承認の抗がん剤や重粒子線治療・陽子線治療などですが、これらは自由診療(保険適用外)であるため全額自己負担で、数百万円~1千万円以上にもなることがあります。

 

治療以外にかかるお金はあるのか?

入院や手術、診療代などの保険適用になる医療費以外に、病院の医療サービスに支払うお金があります。

・個室なら差額ベッド代

・入院時の食費の一部

・診断書作成

・身の回りの生活用品

・入院用品

など。

この他には、

・通院にかかる交通費

・必要時、ウィッグ(かつら)の費用

・働けない場合はその間の生活費

・入院中の子どものシッター代金

などがあげられます。

ガンにならなければかからなかったお金も重なると結構な出費になります。

 

ガンの治療期間はどれくらいなのか

ガンの治療期間は、ひとによってさまざまです。

ガンの治療は、短期間で終了する場合もあれば長期間続く場合もあります。

例えば手術でガンを切除することで、短期間で治療終了する場合があります。

一方で、抗がん剤を使用する場合は治療を行う期間と、治療を行わない期間を計画的に組み合わせて治療するため、長期間治療が続く場合もあります。

また、経過観察をしている時に再発や転移により、治療が再開されるケースもあります。

<ガンの治療期間の割合>

・半年未満。。。55.5%

・半年~1年未満。。。14.9%

・1年~2年未満。。。9.5%

・2年~5年未満。。。9.2%

・5年以上。。。7.8%

・わからない、答えたくない。。。3.1%

 

約半数の人が半年以上治療に時間を費やしているのがわかります。

 

お金がないと治療はできないのか?

以上の内容で、ガンの治療にはお金がかかるということがわかりました。

では、治療にかかったお金はすべて支払わなければいけないのでしょうか?

 

実はそうではありません

 

公的制度で費用はおさえられます。

 

公的制度

民間の保険に入っていなくても受けられる公的な支援制度があります。

 

高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)

医療費負担額は収入によって上限が決まっています。

それより多く払った場合は、健康保険の窓口に申告することでお金を取り戻せるので、無限にかかることはありません。

さらに年間の医療費が10万円以上かかったら、税務署に申告すれば税金が還付される制度もあります。

いずれも申告にはどれだけ支払ったかの証明がいるので、医療費関連の領収書やレシートは必ず取っておきましょう。

その年に申告を忘れても、原則5年間はさかのぼって申告できます。

 

※医療費の限度額は以下の表の通りです※

年収の目安 1か月の医療費の上限
約1,160万円~ 252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
約770万円~1,160万円 167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
約370万円~770万円 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
~約370万円 57,600円
住民税が非課税の人 35,400円

例えば、年収400万円の人が、入院と手術で1か月に総額100万円かかった場合、窓口での支払いは30万円(3割負担)。

手続きすれば、80,100円+(100万円-267,000円)×1%=87,430円を超えた212,570円が戻ります

扶養家族がいれば、家族分の医療費も合算できます(70歳未満なら20,100円以上)。

 

入院中の食費や差額ベッド代は対象外です

高額医療費の対象になるのは、健康保険がきくものだけ。

保険証を提示して買った処方薬は対象内ですが、薬局で自分で買った市販薬は対象外です。

 

先に申告すれば立てかえ払いも不要になります

お金が戻るまでは、限度額を超えた分を自費でたてかえる形になりますが、前もって限度額適用認定書をもらっておけば、限度額以上の支払いは不要になります。

医療費が高くなりそうなときは、あらかじめ健康保険の窓口に認定書をしんせいしましょう。

さらに手厚い保障があることもあります

1年のうち限度額を超えた月が4回以上になると、自己負担額はさらに少なくなります。

組合健保で付加給付がある会社員は、医療費の上限がさらに低く設定されている場合もあります。会社で入っている健保組合に確認しましょう。

 

傷病手当金(しょうびょうてあてきん)の給付

会社には有給休暇や病気休暇という制度があり、ある程度出社できなくても給料は保障されています。

長期間会社を休んでそうした休暇を使い果たすと、給料はもらえなくなりますが、傷病手当を申請することで、給料のだいたい3分の2の手当金が最長1年半まもらえます。

会社によっては「付加給付」でさらに手厚く保障されている場合もあります。

 

退職してももらえる!

傷病手当金の受給期間が残っている場合、条件を満たせば、会社を辞めてももらい続けることができます。

雇用保険の基本手当と同時にはもらえないので、傷病手当金の受給期間が終わったあとに基本手当を受給できるようにしましょう。

 

自営業はもらえない!

傷病手当金は健康保険の制度なので、国民健康保険の加入者はもらえません

会社員でも、もらえるのは健康保険加入者本人だけ。

夫の扶養範囲内で働くパート妻などが仕事を長期間休んでも、お金はもらえません。

 

高額療養費貸付制度(こうがくりょうようひかしつけせいど)

高額療養費貸付制度とは、高額療養費で払い戻されるお金の約8割(国保では約9割)を利息で借りられる制度です。

公的医療保険に加入している人なら利用できます。

申請は、加入している保険の窓口に行くか、郵送で申請できます。

申請方法は加入している保険、地域によって異なるので、加入先に問い合わせてみましょう。

 

高額療養費が払い戻されたら相殺されるので返済は不要です。

また、払い戻しのうち、残り2割(国保は1割)は、高額療養費貸付制度の申し込みから3~4か月後に振り込まれます。

 

年間では介護保険料と合算できる「合算療養費制度」も

合算療養費制度とは、同じ世帯の医療保険の加入者について、毎年8月から1年間にかかった医療保険と介護保険の自己負担額を合算し、基準額を超えた場合、超えた分の金額を返還してもらえる制度です。

 

末期がんの場合は介護保険を適用できる

介護保険料は、40歳以上の人すべてに支払い義務が生じます。40歳以上で、ガンになった際、介護保険の適用になります。

介護保険の認定を受けるには、住んでいる市町村の役場や市役所に、申請手続きを行う必要があります。

 

生活保護の医療費扶助を受ける

預金がない、働ける状態ではない、年金などを受けていないなどの場合、生活保護の医療扶助を受けられることがあります。

 

生活保護に適用されるための条件

1.資産・治療を行うための費用がない

2.働ける状態ではない

3.年金など国、地域から援助を受けていない

4.親族からの援助が受けられない

市区では市区、町村では都道府県が窓口となります。

生活保護を受けられるかどうかは、各都道府県・自治体により異なるようなので、確認してみましょう。

 

障害年金を活用する

障害年金はガンになった場合も活用することができるようです。

ガンの治療費目的で、障害年金を受け取ったからといって、将来の年金が減る心配はありません。

 

障害年金受給に適用されるための3つの条件

1.年金保険を3分の2以上払っていた

2.障害の条件を満たしている

3.障害認定日が1年半

ガンの場合に理解しておきたいのは、目に見えて身体機能が変わった場合だけが障害年金の申請対象となるわけではありません。

抗がん剤の副作用によるだるさや、末しょう神経障害、貧血、下痢、嘔吐、体重減少など、客観的にわかりにくい内部障害の場合でも、その原因がガンの治療によるものであり、現在の仕事に支障をきたすことが認められれば、支給される可能性があります。

 

中小企業従業員生活資金融資(ちゅうしょうきぎょうじゅうぎょういんせいかつしきんゆうし)

自治体によっては、中小企業の従業員を対象にした融資制度を実施しています。

ただし、自治体によって名称、利用条件、制度の概要など、細かい内容はそれぞれ異なるので注意しましょう。

私の住んでいる新潟県は「新潟県勤労者生活安定資金貸付金制度」という名称でした。

調べたい県名+中小企業従業員生活資金融資でネットで検索すると出てきます。

 

病院のソーシャルワーカー(相談員)に相談する

高額療養費制度や傷病手当金のほかにも、状況によっては、年金、医療費控除、生活保護など、さまざまな制度を活用して、経済的な負担を軽くすることができます。

あなた自身の状況で、どのような制度が利用できるか、あなたと一緒に考えたり、情報提供したり、支援してくれる専門職がソーシャルワーカーです。かかっている病院にソーシャルワーカーがいるかどうか、受付や相談室で尋ねてみてください。

かかっている病院にソーシャルワーカーがいない場合でも、住んでいる地域に近い相談支援センターにソーシャルワーカーがいるかもしれません。

下記のホームページで確認してみてください。

ガン相談支援センターを探す

 

まとめ

ガンにかかると、治療は長期化する傾向にあるようです。

経済的に不安のある場合も、公的制度によってガンの治療はできます。

治療費が払えないからと言って、治療をあきらめる必要はないということです。

治療費が支払えない場合でも、しっかりガンと向き合っていきましょう。

 

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アラフォー主婦
二人の男の子を育児中のアラフォー主婦です。